キン肉マンのアニメ版復活が決定して、過去のアニメ版との違いを考える

キン肉マンのアニメ版がアニメ化40周年を記念して復活することになった
ゆでたまご先生もアニメ化を願って活動しておられたのでとても喜ばしいことである
いつからスタートとか声優がどうなるかとか放送時間帯とか全くそのあたりは未定
おそらく完璧超人・無量大数軍(ラージナンバーズ)編からのスタートだろうが現行シリーズまで続くかももちろん未定
すべては視聴率とソフトの売上次第ということだろうか
とりあえずテリーマンVSマックス・ラジアル戦からおっぱじまることは間違いないだろう

そう・・・今から40年前の1983年4月3日というキン肉マンの誕生日の2日後にキン肉マンのアニメ版はスタートした
原作がスタートしてから4年後というそこまで早いスタートでもなかった
原作連載では既に黄金のマスク編まで進みキン肉マンVSアシュラマン戦の真っ最中の時期だった(1983年15号/3月28日発売/「雪対キン肉マン!!の巻」)
前年の7人の悪魔超人編のテリーマン生還回(ただいま、キン肉マン)で初の人気1位を獲得したことで人気漫画として認められるようになったことが大きいだろう
今でこそジャンプ黄金時代を代表する人気漫画という認識だが、その当時ではまだ今ほど絶対的な人気を獲得していない状態だったんだ。
今からじゃ想像もつかないことだけど。

また1983年15号には奇しくもゆでたまご先生の特別読み切りである『勇者ビッグボディ』という作品まで連載されているじゃあないか!
この作品全然知らなかった
ちょっと調べたけど現在作中で登場しているキン肉マン・ビッグボディとは全く別のキャラでモデルにすらなってなさそう
ちょっと気になるからこの読み切りは読んでみたい
ゆでたまご先生の読み切り集買えば読めるらしいから買ってみよう
読んでみての感想はまたUPする

そして、この1983年15号販売時点での他の連載作品を見てみるとこの時点でアニメ化されていたのは「Dr.スランプ」しかない。
人気1位になってから1年以上アニメ化まで時間を要したのもそれほど当時のアニメ化のハードルは高かったということの裏返しなのかもやしれない

いや厳密にはアニメ化された作品他にもあるにはあるんだ
・キャプテン翼
・キャッツアイ
・ウイングマン
・よろしくメカドック
・ハイスクール奇面組
などはアニメ化されたしキン肉マン世代のアンタならこれらは当然知ってるだろう
あ~あとさらに10年後にこち亀もあるか
いやこち亀って確か80年代も単発的にアニメ化されてたよな
原作コミックの表紙がそのアニメ版のものだった時があったはずだけど・・・まぁそこまではいいや

とにかくこんだけアニメ化された作品はあるにはある
だが「1983年4月3日時点で」アニメ化されてたのはDr.スランプアラレちゃんただ一作のみだったということだ
このアラレちゃんの声を担当する小山茉美ってドラゴンボールのランチさんとか聖闘士星矢のシャイナさんとかワイルド系キャラの声もやっててすげぇ幅広いよな
それでいてミンキーモモとかあんみつ姫とかもやってんのか(どっちも見てなかったけど)
さらにはその星矢の声を演じた古谷徹はかつて結婚してその後離婚した関係でも共演してたとは
それにしてもこの芸風の広さは則巻千兵衛とラオウを演じた内海賢二のようだ

芸風の広さならキン肉マン声優だって負けちゃいない
何しろキン肉マン声優は主役の神谷明と腰巾着のアレキサンドリア役の松島みのり以外は複数キャラを掛け持ちさせられるのが当然だった
テリーマン役の田中秀幸はテリー以外にキューブマン・ウォッチマン・ペンタゴン・スプリングマン・プラネットマンなど各超人にイクエちゃんのとんかつ屋のご主人や「聖子ちゃん」の恋人など様々無茶振りされてる
とにかくもうどれも声が全然違うから同じ人物がヤッてるとはまずわからないレベル
「聖子ちゃん」は原作では「高原ナナ」だったがアニメでは松田聖子を意識したのか「聖子ちゃん」に変わっているがとにかくキン肉マンは高原ナナファンクラブ会員番号9999番とのことだ
キン骨マンを演じた二又一成もスカイマン、便器、ステカセ、スニゲーターときてなんとあの高潔なシルバーマンまで演じたかと思えば例のイクエちゃんや聖子ちゃんの追っかけのモブとかめぞんの五代くんとか・・・

変わり身の速さというか幅広さというかどんなキャラも演じられてしまうような声優がとにかく多かった印象だ
キン骨マンとシルバーマンなんて究極の真逆の立ち位置みたいな存在じゃあないか
そういや二又はアニメオリジナル編であるサイコ―超人編で宇宙船の若きイケメンキャプテン(船長)役もやっててシルバーマン含め二枚目系役も普通にできる声優ってことなんだろうね

他作品じゃどっちかってとサザエさんのサブとかうる星やつらのチビとからんまの五寸釘とかハットリくんの小池先生とか影の薄いザコキャラばかり演じてる印象あったがやればできるってことだ
他にも【ブロッケンJr./与作さん】の水鳥鐵夫とか【委員長/悪魔将軍/ネプチューンキング】の北川米彦とか【キン肉大王/アトランティス/ジャンクマン/ネプチューンマン】の岸野一彦とか演じる役のギャップがすごい
特に上記お三方はどっちのキャラも登場シーンが多い方だから収録時は「なんもそんな青筋たてんとええやねんの」とか余計なセリフも多くめっちゃしんどかったんじゃないだろうか?

本当にプロの声優の演技力の広さには敬服する
ただこれってプロ声優の中でもできるタイプとできないタイプいると思うんだよね
ジェロニモやスクリューキッド役だった塩沢兼人は他のアニメ作品でも似たような声質ですぐに「あ、ジェロニモの声だ」とわかる典型的なタイプ
ウォーズマンを演じた堀秀行も他の作品でも『魁!!男塾』の剣桃太郎とか『聖闘士星矢』のフェニックス一輝とか基本的に二枚目系キャラしか演じていない
だからってだれがダメってこともなく、そのタイプのキャラを完璧に演じ切ることができているわけだからそれはそれで素晴らしいってこと
俳優で言えばシリアスもコミカルもできる唐沢寿明みたいなタイプか、二枚目に特化したプロフェッショナルである田村正和みたいなタイプかの違いだろう

話はそれたがキン肉マンのアニメは今から40年前にスタートした
そしてキン肉マンという作品が真の意味で人気作品になったのもここからだろう
原作コミックもキンケシもアニメ放送期間と放送がない期間で売り上げが極端に違うほどアニメの影響力は絶大だった
メディアミックスの開祖みたいな作品とも言える
どの漫画家だったかキン肉マンがバトル漫画のアニメ化の開祖でもあると言ってたか
いろんな意味でパイオニア的存在であり80年代にもっとも人気があった作品と言っても過言ではないだろう(ドラゴンボールは90年代が本番として)

放送時間も日曜日の10:00~10:30という思いっきり子ども層を意識した時間帯であることもわかる
このキン肉マン自体が低年齢の子どもをターゲットに作られた作品であることもある
その狙いはあたり視聴率は20%を記録するほどの人気番組でもあった
当時の流れとすればその1時間前に「東映不思議コメディーシリーズ」がありその流れで見る子どもも多かったんではないだろうか?
『バッテンロボ丸』⇒『ペットントン』⇒『どきんちょ!ネムリン』⇒『勝手に!カミタマン』⇒『もりもりぼっくん』と続いていて当時の子どもはこれらも見ていただろう
そしてこの時間帯での放送なら「プロ野球で中止」という子ども泣かせの悲劇に見舞われる可能性も低い時間帯だったことも大きかったと思われる

カミタマンだけはなんとな~く聞き覚えがあるというかOPかEDのどっちかの曲だけは耳に残ってる程度かな
「スーパーヒーローになりたいな~♪」とかいう出だしの歌あったよね?
あれEDだったっけか
バッテンロボ丸ともりもりぼっくんはキン肉マン世代のオレでも全く聞いたことがない程度の認識だったからそこまで人気番組でもなかったのかな?
ペットントンは有名だから知ってる
でも見てなかったから内容は知らない(笑)

むしろオレの世代的にはそれらの後の『おもいっきり探偵団 覇悪怒組』とか『じゃあまん探偵団 魔隣組』とかそのあたりがドストライクなのよ
これらはそこそこ見てたから
で、その後の『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』とか『魔法少女ちゅうかないぱねま!』とかこれ今冷静に考えると絶対もう名前で“狙って“るよな
その思惑通りちゅうかなぱいぱいの小沢なつきが恐ろしく可愛くて当時夢中でムラムラしながら見てたしペットントンより寧ろ“ぱいぱい”のほうがオレは夢中だったんだ
ペットントン・・・
オナペットントン・・・

そんなオレの汚れたローティーン時代はともかく「東映不思議コメディーシリーズ」からの~キン肉マンへの流れという相乗効果はあったんじゃないかと思われる
不思議コメディーシリーズは9:30で終了だから30分間の空白があるが
その9:30~も何かやってなかったか?
今ならその時間帯もテレビから離さない狙いでアニメやってるよな
あん時どうだったっけか
なかった気がする

とにかくこの1983年はいろいろ子どもにとってはエポックメイキングな年だった
キン肉マンだけでなく『キャプテン翼』や『キャッツアイ』というビッグタイトルもアニメがスタートしてキャッツアイは主題歌も大ヒットした
更にこの年はなんと言ってもファミコンが発売開始になった年でもある
これらよって子どもにとって「楽しいこと」が飛躍的に増えた1年でもある
ファミコンはソフトが充実して本格的に人気になるのは1985年からで、その1985年にキン肉マンの『マッスルタッグマッチ』も発売された
マッスルタッグマッチは100万本以上売れる大ヒットとなり、公式ゲーム大会景品としてこの世に8つしかないゴールドカートリッジ版にはオークションで100万円の値がつくほど「100」づくしの作品となった

原作の売上だけでなくアニメ・キン消し・ファミコン・映画(劇場版)・各種キャラクター商品・・・さらには『闘将!!拉麺男』までアニメ化・ファミコン化された
さらにゆでたまご先生は『必殺仕事人』にまで出演するハメにまでなかった
そんなこんなで80年代のゆでたまご先生の収益はエグいものだったようで、実際1985年の長者番付の漫画化部門1位と2位は嶋田先生と中井先生御両人が25歳の若さで独占している
今の総資産はどんなもんなんだろうか?
さらに現在も連載が続いていて収入は増え続けているわけだ
本当に凄いことなのである

背景の話を引っ張りすぎたがここにきてアニメ版が復活となる
過去のアニメ版とどう異なるのか考えると「遊び」の部分はあるのかなという点が気になる
過去のアニメ版は1983年(昭和58年)4月3日から1986年(昭和61年)10月1日まで放送された第1期と1991年(平成3年)10月6日から1992年(平成4年)9月27日まで放送された第2期がある
第1期が夢の超人タッグ編までと、その後アニメオリジナル編が2シリーズ続いて終了し、第2期にアニメ化されないままになっていた王位争奪編を丸々放送する形となった
どちらにも共通していることは「ギャグ」シーンの多さだった
要は原作以上に「遊び」の部分がかなり大きい内容で、これが良くも悪くもアニメ版の特徴でもあった

しかし今回のアニメ化ではもう原作時点でギャグ描写はほぼなくなっていて完全にバトル漫画の世界になりつつある
また視聴者も第1期や2期の子ども向けとは違いおそらく大人向けを意識して作ることからそういう「遊び」の部分はほぼないだろう
具体的に言えば「コメディリリーフ」的キャラクターの存在だ
与作さん・五分刈りの旦那・アデランスの中野さん・吉貝アナ・キン骨マン・イワオ・キン骨オババ・・・さらには真弓大王・委員長あたりもコメディーリリーフ寄りになりこれらのキャラが再三茶々を入れてきた
時にそれは鬱陶しく感じることも多かったが、今にして思えばそれはそれでよいエッセンスだったと思える
緊迫した闘い一辺倒の内容より、例えスベッていてもギャグシーンが入ることでなんとなく力が抜けてリラックスして見れる効果があるというか

ただ第1期ではそれほど不評でなかったこれらのコメディリリーフも第2期では視聴者層がそこそこ大人になっていたこともあってか(オレももう中3~高校生になっていた)不評を買うようになる
そもそも第2期ではキン骨マンやイワオやアデランスの中野さんはほとんど登場しなかったし、真弓大王も委員長もお笑い担当に回ることはなかった
視聴者層の成長に合わせて内容を少し大人向けに修正してきた感はある
それでも原作に比べるとギャグが所々に見えてはいたが
だがこの第2期には「コニタ」という当時大人気だった大仁田厚を子ども化したようなアニメオリジナルキャラクターが登場して、コイツがとにかく再三しゃしゃり出てコメディリリーフを担おうとするから酷かった
とにかくウザいことこの上ないキャラクターでこれが大いに不評を買って苦情が多かったのかゼブラチーム戦以降は登場シーンを大幅に削られるほどだった

このように視聴者の年齢層に合わせて作風も変わる
今回のアニメ版もおそらく深夜枠
視聴者層も1965年生まれ~1980年生まれまでのキン肉マン世代を狙ったものであることから、ギャグ描写はほぼ皆無になるのではないかと思う
純粋にバトルだけを楽しみたいならそれもいいかもしれないが、アニメ版のキン肉マンといえば面白いか面白くないかは別として「ギャグパート」も重要な一部を占めていたのは否めない
「牛丼音頭」などその象徴だろう
あんだけ無意味に採算やられりゃ面白い面白くない関係なしにサブリミナル効果的に完全に脳裏に植え付けられちまうし牛丼食いたくなって仕方なくなっちまう

それもキン肉マンのカラーでありそういうものを全く排除してしまうのかどうかが気になるところである
そもそも原作がもうギャグ描写がほとんどなくなってるからそれに準じる形になってしまう可能性は高そうだ
ドラゴンボールでも『ドラゴンボール改』というかつての『ドラゴンボールZ』のデジタルリマスター版が放送されたが「Z」にあったオリジナル描写やストーリーだけでなく「遊び」の部分もごっそり削られていた
原作に忠実と言えばそれまでだが原作と全く同じでは原作を読むのと大して違いもないわけでやっぱり原作にない違いもあった方がアニメって面白いんじゃないかと思える
あまりに笑いが無さすぎる『北斗の拳』みたいなシリアス一辺倒な作風のアニメ版になってしまうのも考えものだ
とは言えもう原作に全く出てこないキン骨マンやイワオを引っ張り出すわけにもいかないし、真弓大王ですらたまにしか出てこないし委員長もすっかりシリアスキャラになっている

単純に原作部分を動く映像で見たいというのならばそれでもいいんだろうけど、キン肉マンのアニメってそれだけじゃなかったと思う
まず串田アキラが歌う主題歌でテンションが上がり、各キャラクターのキャラクターソングも面白かった
牛丼音頭や各ギャグパートの笑いもあり、何ならCMまたぎのアイキャッチだって重要なエッセンスだった
そして個性的な各声優たちの演技力
それらの結集がキン肉マンのアニメであり、だからこそあれだけ人気があったんだと思う
ターゲット層が40歳以上になった今、そこにどこまで折り合いをつけられるのかどうか

キン肉マンのファン層が「バトル」を好むのか「笑い」を好むのかにもよるかもしれない
だが個人的には第1期は上述した総合力で最も素晴らしい作品だったと思う
また原作の良さをさらに引き出している回もあった
テリーマンの「ただいまキン肉マン」の時(アニメ版の59話前半パート「谷底に落ちたテリーマンの巻」)
原作にはなくキン肉マンが涙を流しながら仲間たちを探してさまようシーンがありそのバックで神谷明の歌手並の歌唱力で歌う「See you again,hero!」が見てるこっちまで涙を誘う演出
その流れからの~ブロッケン登場⇒だが他は誰も戻らないとまた落胆⇒その流れからの~「テキサスブロンコ」が流れてテリーマン登場で「ただいま、キン肉マン」の流れが超感動的だったんだ

原作の感動をさらに高める演出って音楽を駆使できるアニメ版だからこそできることだと思う
あとアニメ版53話後半パート「私は永遠に不滅です!! の巻 」の終わり方もすごく泣かせる演出になっている
原作で言うところの「まてテリーマン、お前ばかりにいいかっこうはさせないぜ」でアイドル超人が勢揃いして悪魔超人と闘う流れになるシーン
原作ではさらっと流されたけどアニメ版ではここで「キン肉マンGo fight!」のBGMが流れる
そして傷ついてコーナーにもたれかかるキン肉マンを包み込むようにテリーマン・ウォーズマン・ロビンマスク・ブロッケン、ウルフマンの顔が囲んでいる画で終わるけどこれも感動的なんだ
このような原作以上の感動を引き出せるかどうかもアニメ制作側の技量ではないかと思う

声優がどうなるかと言われているが、そもそも声優は第1期と第2期でキン肉マンとミート以外総入れ替えされてしまっている
だから結局は「キン肉マンの声」を誰がやるかという点だろう
神谷明でいけるんじゃないだろうか
普通に冴羽りょうも今でもやってるわけだし
野沢雅子だって悟空をずっと続けてる
他にキン肉マンの声できそうな声優っていたか考えてみるけど・・・いまいち浮かばないなぁ

それより大事なのは主題歌じゃないかな
やっぱりキン肉マンって主題歌でテンション上げるアニメだったから
串田アキラ先生に歌ってほしいけど誰が作曲するかも大事で
良い曲じゃなきゃ誰が歌ってもね・・・
そう考えると稀代のメロディメーカーである芹澤廣明先生は本当に偉大だった
中森明菜やらチェッカーズやらヒットさせただけのことはある

いずれにしてもキン肉マンアニメ版復活は喜ばしいこと
どんな内容になるかとても楽しみである
願わくは「遊び」の部分もある作品であってほしいとは思う
そういうものもキン肉マンのテイストだと思うから
多少スベッててもウザくてもOKよ
でも五分刈りの旦那だけはカンベンな?

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