キン肉マン 367話 ネプチューンマンという男 感想

ネプチューンマンのシングルマッチでの「試合勘」の喪失が露見した今回のストーリー。
何しろキン肉マンを・・・もうどれっくらいだろう・・・ザッと30年以上は読み続けてきたこのオレでさえ、ネプのシングルが「初めて見れる!」と小躍りしたほどだ。
つまり、作中でネプのシングルなぞ描かれたことは一度こっきりもない。
もはや「パラレルワールド」と考えるべき「キン肉マンⅡ世」でも試合は多く描かれたがやっぱりすべてタッグマッチ。
だからこの流れになるのも無理はあるまいて。
だが「完璧超人」を名乗るのにどんな戦い方にも応じられないのはどうかと思うが。

あと、王位争奪編登場時から思っていたのはネプがなんか「弱くなった」感。
シンプルな戦闘面での強さだけでなく精神面までなんだか脆くなっちまったような。
厳密には超人タッグマッチ編でネプチューン・キングが正体を見せた瞬間から急にネプの絶対的強さが消えうせ、弱気な面がやたら見えるようになった。
その流れで王位争奪編も終始狼狽しているシーンの方が多かったように見えるし、電流シャワーやSMプレイを強いられたりして闘ってる描写がほっとんどないまま予言書burn outで消えちまった。
さらに先の完璧超人始祖辺でも戦闘描写はなく、いきなり拉致監禁されてたり冴えない扱いが多かった。
超人タッグ編でネプキンが登場するまでの圧倒的な強さと、何事にも全く動揺せずほとんど冷や汗すらかかなかったあの絶対的な余裕と威厳が全く消え失せて、牙を抜かれた虎状態になっちまった。

アシュラマンも超人タッグ編で正義超人に肩入れしてからの~、王位争奪編ではキャラ変したのかというほどの礼儀正しい好青年になっちまった。
サタンクロス(サムソン・ティーチャー)に敬語で話したり、何の関係もない正義超人のために4本の腕を駆使してクロス型に切腹して挙句に釣り天井の下敷きになり蜂の巣になる壮絶な自己犠牲まで示した。
まさに牙を抜かれた猫みたいな良い子ちゃん正統派ヒロインみたいなキャラにまで成り下がっていた。
ブロッケンより明らかに強いのになぜか次鋒扱いだし。
いろんな意味で無理がある描かれ方だった。
悪魔超人の、ましてや王族の人間が正義超人のために切腹⇒釣り天井で自己犠牲とか・・・アシュラマンのパパママはその光景をいつでもどこでも映してくれるモニターで見て涙するどころか激昂していたであろう。

ネプに関してはやっぱり「ボスキャラ補正」があった時とない時の落差というものなんだろう。
思えばウォーズマンもバッファローマンも通った道だ。
将軍様だけは通らなかったが。
ネプキンが登場した途端に「ラスボスの座とボスキャラ補正」はネプキンに移った。
そこからのネプは精神的に不安定になり、相手の攻撃も通りまくっていた。
ボスキャラ補正喪失後に関してウォーズマンはもはや言うまでもないが、バッファローマンもキン肉マン戦ほどの恐ろしい強さはさすがに描かれてないし、デビルシャークとか二度と見せることはなかった。

「主役補正」と「ボスキャラ補正」というものはそれほど圧倒的なものなんだろう。
主役側であればとにかく何もかも主役に都合が良い展開になる。
ルパンがいくら敵に銃弾を撃ち込まれても銃弾が一発もかすりさえしない事例が典型。
007映画でも敵の黒幕は何度もボンドを殺せる状態になるが、なぜかダラダラおしゃべりしたり、その場で即射殺せずになぜか回りくどい処刑法を実行しようとして結局逃げられるみたいなね。
主役補正・・・すべてが主人公に都合の良い世界(展開)になる
ボスキャラ補正・・・(主人公にヤられるまでは)絶対的(絶望的)強さと威厳とそこからくる余裕(一切動揺しない・冷や汗をかかない・弱気な発言が皆無)

そんなネプも、Ⅱ世では究極の超人タッグ編では最初ボスキャラっぽい立ち位置で登場した。
52歳になっても全盛期の肉体を維持したまま経験値は豊富というまさに「完璧」かつ「理想」の状態に達していてはいたんだ。
人間の格闘家やプロスポーツ選手でも、歳を取れば知識や経験値が高まり極めて効率的な闘い方やプレーを理解できるが、その時は肝心の肉体が衰えてたり既に引退後だったりでそれを「実行」できないもの。
逆に若いうちは身体能力は高いが、知識も経験も圧倒的に不足しているから上述した境地に至っておらず「理想的な闘い(プレー)」を実行できない。
悲しいかな、人間とは知識(経験)と身体能力のピークが大きくズレちまう生き物なんだ。
「老い」というものがなければ、どれほど多くの「最強格闘家」や「超人的プロスポーツ選手」が誕生するだろうか。

これってプロの世界に限らず一般人レベルでもさ、例えばオレは学生時代はサッカーをやってたが、今思うと「もっと上手くなれたな」とつくづく思うことが最近やたら多い。
今でも多くの選手のプレーを見てるとボールキープの仕方とか、相手をかわすフェイントのアイディアやバリエーションなど次々思い浮かび、これを当時ヤッてたらスーパースターでヤりまくりだったろうなと。
喧嘩で負けた思い出もあり、その喧嘩でも今ならあぁ動けば圧勝だったと思うわけだが、その当時はそんな思考はないからただ一直線に殴りに行くだけでそれを相手に上手くかわされた痛恨のミスだった。
勉強でも、オレは典型的な理系人間で国語が大の苦手で特に現代文は意図を理解するとか全然苦手だったが、今当時の問題をやってみると簡単に理解できているし活字も読書も大好きだ。
こんな感じで、人間の「理解力」というべきものに関してはどんどん「進化」していくものなんだ。
歳を取れば記憶力と身体能力は衰えるが、「地頭」が良くなるというプラスの側面もあるってこと。

あんたもかつて苦手だった科目とか今学びなおしてみれば、当時はどうしても理解できなかった箇所とか容易に理解できるようになってることに気づくと思うぜ?
格闘技やスポーツに関しても、当時できなかったプレーができたりするもんだぜ?
年々「頭が良くなっている」ということだけは事実であり、歳を取ることは全てが悪いことばかりじゃあないんだ。

ネプチューンマンは王位争奪編終了後は山にこもって常に樹木から発せられるフィトンチッドを浴び続け肉体の老化を極端まで抑え、食事も高たんぱくかつあらゆる栄養素が詰まった昆虫食を実践していた。
昆虫食は今はかなり注目され始めているし、多分10年後には食糧難回避の目的も含めかなり主流になってるとオレは考えているが、ネプ・・・というかゆでたまご先生はそれを今から20年ほど前から知っていたんだ。
昆虫食に限らず人間の「若返り」の技術がどんどん進化していて、マジでもうアンチエイジング(老化を遅らせる)レベルの話ではなく、老化を止める・若返らせる技術の実現が近づいている。
ネプチューンマンが超人タッグ編で自転を逆回転させて時間を戻したかのようなことが可能になるかもしれない時が近づいている。
NMNサプリメントとかテロメアや幹細胞治療などは代表例で既に有名だが、アメリカなどは国家予算を投入してさらにその先をイッた若返り技術を研究している。
ちなみにネプがヤッた自転を逆回転させれば時間が戻るというのは科学的にはありえないことなんだけど、まぁ・・・ウォーズマンの光の矢とかロビン・スペシャルの理論とか他にも挙げてたらキリがない漫画だから。

とにかくネプチューンマンも「老化」を自分の知恵だけで食い止めた。
他のアイドル超人達がロボ超人であるウォーズマンを除いて皆「歳には勝てない」とばかりに衰えていた時代の中で、全盛時の強さをキープしていた。
だがそれもその時点で「ボスキャラ補正」があったからと思われ、結局時間超人が登場し、そして直接対決すれば「ラスボス補正」はあっちに奪われちまいマンモスマンには裏切られ負けるハメになっちまった。
それほど「補正」の力は絶大であり、その恩恵を受けられるのもごく一部の限られたキャラクターだけであり、それも主人公以外は短い期間の間でしかないということ。
それを失えばみんなおなじみ「強敵が 仲間になれば 弱体化」という(少年バトル漫画あるある川柳)の代表的な流れに従うハメになるわけで。
ただネプの山籠もりと昆虫食だけであそこまで老化を食い止めるのもさすがに無理があるんだけど・・・まぁ加圧トレーニングで骨が生えてくる漫画だから。

まぁそんなこんなで「弱体化」かつ「弱メンタル化」が著しいネプ。
誰もいないのにコーナーにタッチを求めようとしたり、リヴァイアサンの「リヴァイアサン・メイルストローム」をくらった時もコーナーを見てカットを求めようとしたり。
でも超人タッグ編のネプって逃げるようなタッチはほぼなかったよな。
ハリケーンヒートとロングホーンボンバーくらった時だけ武道が助けに入ったくらいで。
こんな弱々しくタッチやカットを求めることはなかったぞ。
「補正」を失うとここまで弱体化しちまうのか。

そして、ネプはいきなり必殺技の1つである喧嘩(クォーラル)ボンバーを放ってしまう負けフラグまで披露。
しかもハンセンみたいに一撃必殺感もなく、乱発式で披露する。
挙句にはターンオーバー喧嘩(クォーラル)ボンバーなどというものまで。
「硬度10ダイヤモンドアーム」の宣言はなし。
ただ左腕は光っていたけど、そもそもあれはホントに硬度10なのか、ただ技名を言いたいだけみたいな中二病的なフレーズじゃないのかといつも思ってる。
とにかく必殺技をいきなり出しまくってしまうのは負ける傾向。

ただ、ターンオーバー喧嘩(クォーラル)ボンバーってもしかしてゆでたまご先生ディスクシステムの「王位争奪編」やったのかな?
あのゲームではネプチューンマンはほとんど使用場面ないんだけど、その前のステージでソルジャーを操作してフェニックスに勝つと使用できるキャラだが「他の主要キャラが全滅」してからでないと出てこない。
で、得意技がこの喧嘩ボンバーなんだけど、これってあのゲームで言えば100トンの鉄球とかモーターマンのドリルやバイクマンのバイクみたいに相手に一直線に突進してくれる技なら助かったのにそうじゃない。
ウォーズマンのスクリュードライバーもそうだが、プレーヤー側は相手を上空に放り投げてからでないと大技は発動しないシステムになっていて、喧嘩ボンバーも相手を一度上空に放り投げなきゃいけない。
しかもスクリュードライバーと違って厄介なのは、放り投げた後助走をつけるだけの間合いを開けてから十字キー下+Aボタンを押してやっと発動するというかなり使いにくく、攻撃力も大したことがなという仕様。
ただこのターンオーバー喧嘩ボンバーが当たる瞬間はまさにあのゲーム世界と全く同じなんだが・・・今更ディスクシステムをやるわけもないし当時は忙しくてヤるヒマもなかっただろうし・・・気になる。

そして、ネプの「タッグ慣れ」を叱責したのはロビン。
ネプは近年タッグ漬けだったことを指摘した上で、喧嘩男時代は稀代のシングルの名手だったとかイギリス伝統社会に抗っていたとか後付けみてーな設定まで加えて、「終生のライバル」とまで認めて叱咤する。
キン肉マンといいネプチューンマンといい終生のライバルがいっぱいいて、ロビンはモチベーションの維持に苦労しないタイプね。
ただ、ロビンってアイドル超人最年長かつ思慮深く落ち着いた年配キャラみたいな立ち位置だけど、地味にアイドル超人一の戦闘ジャンキーだよね。
シングル対戦経験のないテリーマンやブロッケンJr.と違い、2度もシングルで戦ってるけどどっちも消化不良みたいな結末になったから一番打倒キン肉マンへの想いも強そうだし。
アタルには王位争奪編でロビン(あとテリーも)が「打倒キン肉マンの夢を失った」と言っているが、読み切りでもやっぱり戦闘ジャッキーっぽい発言が一番目立ってるし、とてもそうには見えない(笑)

とにかくネプがシングルで勝てるかどうか・・・タッグパートナーの存在やマグネットパワーの存在がなければ弱キャラと化してしまうのか・・・真価が問われる闘いになることだけは間違いあるまいて。
「クロスボンバー」なしでどこまでヤれるのかという話でもあるな。
いざとなりゃサイコマンがやったマグネティカ・ボンバーもあるが、あれもマグネットパワーがないと難しいか。
でもなんだか完全にロビンより格下感が漂ってきている。
叱咤叱責されたり、自ら望んだ形では描かれているものの何よりロビンより先に闘うという扱いがもうね。
喧嘩男時代はロビンより圧倒的に強い立場だったのに、完璧超人になってマグネットパワーに頼り過ぎて一個人としては弱体化したのか?

とにかくネプにとっては負けフラグのような内容で今回は終わり。
次回368話の予想だが、喧嘩ボンバー自体はリヴァイアサンにはそこそこ効いてる描写はあったから、このターンオーバー喧嘩ボンバーもそこそこなダメージは与えるだろう。
シングルプレーヤーとしてのネプの奮闘が描かれるものの、リヴァイアサンも超神として手痛い反撃をおっぱじめる流れか?

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